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田口:一人青春だね。
向谷地:あのでっかい家にあるテレビですからね。
田口:お母さん一人でヨン様祭りやってたんですね。
向谷地:そうですよ。あんなでっかいテレビを買い込んでDVDプレイヤーを買い込んでヨン様のビデオを観てですね、あの世に逝きましたよ。
田口:すごいですね。
向谷地:すごいですよ、あのパワーはね。まぁ良い経験しましたね。
田口:お父さんは今どうしてるんですか?
向谷地:今また、施設に戻っていますけど、まぁ父親がどんな風な気持ちで、でもちゃんとお葬式の時に孫達がおばあちゃんに別れの言葉を言った時にはちゃんと泣いてましたからね。ちゃんと現実を、あぁ今何が起きてるってちゃんと受け止めてました。
田口:うーん、私はね、確か去年だったかな向谷地さんから、淡路島に行った時かな、お父さん認知症でお母さんちょっと今体具合悪くしていて、弟さんは統合失調症って聞いてホントにでんぐり返りそうになるくらいびっくりして、だってそれって三重苦ですよね、すごいすっごい話でしょ。
向谷地:最先端の苦労ですよね。
田口:そうでしょう。本当に、なかなかこれってもらえない苦労ですよね。
向谷地:私もね、関心してもうねぇ、ワクワクしてきて。
田口:それをね、こういう感じでお話になるんですよ。で、私は、聞くほうが困っちゃって、やっぱりどうしたってそういう話を聞いたら、悲しげな顔になってくるじゃないですか。こちらはさぁ。あんまりニコニコしながら聞けない話でしょ。だけど、向谷地さんはこのまんまなんですよ。このまんまでね、こうやってね淡々とね冗談を交えながらね、お話になるんですよ。でね、あたし、向谷地さんは、まぁもしかしたら自分のことじゃないからやれてるのかなって思ってたとこがあったの。でも、違うんだこの人。肉親でも同じなんだって思ってね。すんごいびっくりした。うん。
向谷地:いや、私も最近それにやっと気がつきました。私はよくあの一緒に仕事してる精神科の川村先生に痛点がないって言われるんですよ。本当なんですね。痛点がずれてるとか無いとか言われるんです。
田口:でもさ、それはね、鈍感とは違うんですよ。もし鈍感な人だったら、よくわかんないけど、ほんとこういう仕事できないと思うのね。そうじゃないんですよ。すっごく深く受け止めて、物凄くきちんと受け止めて諦めてるんですよね。だからね。怖いですわたし、やっぱり一緒にいて。
向谷地:昨日ですね、たまたま札幌市内の特養老人ホームに学生を連れて見学に行って来たんです。で、そのホームって言うのは実は私が学生時代、住み込みで働いてた時の法人が作った新しい施設で、そこに行きましたら、昔私が住み込みしてた時働いてた寮母さん、職員がごっそりそちらにいましてね。もう30数年ぶりに再会したんですよ。
田口:へー。
向谷地:みんなね、来てくれてね。やぁ向谷地さん、向谷地さんって来てくれて久しぶりに再会して当時のことを思い出してました。私の原点っていうのはやっぱり大学へ入って、で、私は変わってて親に一番最初に頼んだのは、仕送りおくらないでくれってことなんですよ。
田口:へはははは。
向谷地:そこら辺からちょっと変わってて、仕送りを断ってそして仕事探しして、最初に勤めたのが特養。そこで住み込みで仕事して、昼間大学へ通ってて。あれはやっぱり私の原点ですね。人の死に沢山触れるっていうのは。
べてるのメンバーで山本賀代さんっているんです。最近彼女もいろいろお酒で足下を取られたりとか、いろんなトラブルを苦労して続けてきたんですけども、最近その自分のいわゆるトラウマの対象であったお父さんが去年亡くなられて、そのお父さんが癌で亡くなってしばらく実家に帰ってお父さんの死を看取って来たんです。で、その後帰ってきてからすごく晴れやかな顔して帰ってきて、「向谷地さん、死ぬっていうのは、人を生かすんだ」てね。人をこう諦めさせたり自信を無くしたり将来の希望を失わせるんじゃなくて、死ぬって人を生かすんだねって彼女の言葉が僕はホントそうだと思って。
僕は学生時代数えると十数人のお年寄りとのお別れをしたんですけど、その人たちに学生時代、むしろ力貰った。あと難病の子どもたち、筋ジストロフィーの子どもたちのボランティアをして子ども達とのお別れを一杯したけど、やっぱりそのお別れとか浦河に来てアルコールだとかいろいろなメンバー達が病気で亡くなったりする。病院に勤めてると人が死ぬってことにどうしても立ち会う、やっぱりそういうものに生かされてきた中で訓練されてきたなって感じがとってもしてるんですよ。で、そういうことで、そういう環境で仕事してると私は結婚して一番最初の出張で、うちのかみさんに言ったことは何かって言うと、もしかしたら今日これがお別れになるかもしれないからねっていう事を言って出張に出かけた記憶があるんです。
私の計画の中には常にそういうことがあって、そういう意味での準備性っていうのはいつも、いろいろな人たちの生き様を観る中で全部自分の中で準備してる。だから今日来てる子ども達にも、あなた達はこのまま行ったらね、将来登校拒否になったり、学校行きたくなくなったり、親が憎たらしくなったり、全部そういう気持ちになるから大丈夫だぞっていうこととか、向谷地家に生まれたことは不幸だぞって。絶対幸せだなんて思ったら間違いだぞ、不幸だぞ、不幸だぞってことをちゃんと言い聞かせて来てるんですね。変な親ですよ。(笑)
田口:いやぁ、すごくいい親だと思う。うん。