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向谷地:ねぇ。これはね、その電話頂いた時にね、「福島さん誰一番頼りにしてますか?」って言って、「向谷地さんだけです」って言うから、「いやそんな事はない、今福島さんが一番頼りにしたらいいのはね、誰だと思います?」って言ったら、「はぁ」って言って。「福島さんですよ、あなた自身が今一番頼りになるんですよ」なんて言ったら、「へぇ僕がそうですか」、「そうなんですよ福島さんが一番自分の事わかってるし」って話の中でね、「あのじゃぁ福島さんこんな風にやってみたらどうですか?」って浦河のメンバーがやっている方法、「丁重に断ってみる」っていう事をお伝えしたわけね。で、やったら帰ってくれた?
福島:そんなサポート知ったのは初めてですね。
向谷地:幻聴さんが帰る時ってなんて帰るんですか?
福島:いやなんかするっといなくなっちゃうんです。
向谷地:するっといなくなる。ね。あのお帰りくださいって言ってね。「僕はもう今週3回も乗ったんだよ、ちょっと4回目はご免こうむりたい」とかいろいろこう、ちょっと丁重に頼んでみたらって言ったら、頼んだらね、帰っちゃった。福島さんに聞いたらね、僕の幻聴さん結構素直なんですってね。15年間、300回も救急車に乗ってきた彼が、実は幻聴さんが素直だったんだってね。これはすごいことですよ。
田口:ね。幻聴さんとコンタクト取らずに来ちゃったから。幻聴さんもなかなか寂しかったでしょうね。
向谷地:そうなんですよね。だからそれ全部お医者さんや看護婦さんたちが、丸抱えでお世話してきたんで。幻聴が淋しかったのかもしれない。
田口:本当は福島さんと一番喋りたかったのかも、幻聴さんはね。他の人じゃなくて。
向谷地:で、最近は幻聴さん、元気なんですか?
福島:幻聴さんたまに来ますね。でも薬いらないですね。
向谷地:さぁっと来てさっと帰るからですか?
福島:はい。
向谷地:なんか言ってますか?
福島:なんか、たまには相手にしろって言ってます。
向谷地:あはは、たまには相手しろ。幻聴さんも、だからやっぱり寂しいんですね。
田口:寂しいんですね。
向谷地:またこういう世界ってね、今までね、やっぱり省みられる事が無かった世界ですよ。非常に病気の世界っていうのは、科学的な世界だっていうふうに守られていて、どっかね。その科学者であるお医者さんが一生懸命治療してっていう風な、まぁそういう世界ですよ。
田口:べてるで行われている事ってなんかちょっとアミニズムとかシャーマニズムに近いとこがありますよね。だから文化人類学者が取材にきたり。
向谷地:最近、文化人類学の研究者がよく浦河に来るんですよね。
田口:どういう研究しにくるんですかね。あははははは。
向谷地:この前ですね、文化人類学で有名な先生がですね、浦河に来て、まぁ半分冗談でしょうけど、今まで脅威とか幻覚妄想の世界っていうのを調査するためにわざわざアマゾンまで行ってたらしいですね。アマゾン行かなくても浦河に行けばよかったなんて言ってましたけど。
田口:すでに浦河は世界の偏狭になりつつあるかも。あはははは。
■ 「弱さ」の情報公開
田口:私ね、実は向谷地さんはいつも不思議な人だなって思ってたんですよ、長い事。
で、それはね、向谷地さんはもともとこういうキャラクターなのか、それともこれは後天的にべてるの家とともに培ってきたキャラクターなのか。
どうしてね、あの向谷地さんは、諦める事を学んだんだろうかとか、その事をね、実話を聞きたいなとか思ったんです。
向谷地:やっぱりこのキャラクターが少し世に通ずるようになったのは最近ですね。やっぱりね、それはべてると共にあるというか。
田口:若い頃はどうだったんですか?今の様な、例えばべてるの家で向谷地さんがとっている態度っていうのは例えば20代の頃もそういう感じでおられたんですか?
向谷地 :僕は一貫して努力せずにこのパターンですね。
田口:あぁ、そうですか。
向谷地:えぇ、ですから私は小中は苦労しましたね。
田口:あぁ、かえってね。
向谷地:人間関係ではみんな右向け右っていうと僕一人左向いてるような人間でしたからね。
田口:あぁ。
向谷地:みんながやっぱりこうだって言ったら、いやこうも考えられるって言って、あっち向いてほいみたいな感じでしたから。ですから、どうもみなさんの基準に合わないところで。
田口:あぁ、じゃぁ学校の先生なんかに目付けられたでしょ。
向谷地:えぇ、まぁこの本にも出てたかな。ですから、すごい私は体罰受けましたね。先生にめちゃくちゃ殴られましたよ。いつも。
田口:いつも?
向谷地:いつも、いつもです。
田口:反抗的だって?
向谷地:けして反抗なんかしてないんですよ。常に私は従順で、殴られれば殴られっぱなし、口答えひとつせず。もう存在自体が疎ましい感じなんですよ、先生にしてみたら。