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下野:いや、そうですね。予定通り。
田口:順調?
下野:順調、それが当たり前なんですよね。はい。こう退院して、あのガラス割れたり、ぐちゃぐちゃになったりっていうのがいつも日常。はい。
向谷地:私たちは、「それちゃんと自分の予測した通りじゃない、計画的に物事進んでるよ、下野君てすごいね、ちゃんと先を見越してるよね。」ってそこから始まるんですよ。
田口:ねぇ。あたしたちは違うよね。あたしなんかは全然やっぱり、退院したら良くならなきゃって思ってるし、退院したら前よりも正しい暮らしとかさ、いろいろ夢見ちゃうと思うけど。
もっと良い事をたくさんたくさん。それで、それを達成できないとまたすごく挫折感を持っちゃったり、あるいは達成させようと努力したりとか。て事をしがちですよね。
向谷地:ですから、浦河の計画って違うんですよね。目標がですね、ここ(上の方)にないんですよ。ここにね、下の方に目標が。まぁ目標というか計画が。で、計画通りに物事が進むってどんな感じですか?
下野:べてるの人達っていうのは、なんていうのかな、町の中に共同住居がたくさんあるんですけども、そこが半分病棟みたいな感じで、その世話をするのがメンバーで。で、ほとんど手に負えなくなったら病棟に行くんですけども、病棟に行っても一週間くらいで退院してくるから、町全体が浦河病棟みたいな感じで。
町の人もいつもそんなんですから、それが当たり前、べてるの当たり前の光景になってて。あんまりうるさく言われた事もないっていうか、うるさく言われるのが当たり前っていうか。ゴミ出したら予定通り断られたり、ゴミ出せないのかじゃぁ、自分たちでゴミ出そうとか。うん。そんな感じですね。はい。予定通りガラス割れたりね。予定通り痴漢したとか、それが当たり前。
向谷地:まぁこう見るとね、下手に開き直ってるというような感じしかしないかもしれませんけども。じゃぁ、このいろんな行き詰まりの中でそれでもなお、何かを肯定して行くっていうか。そういう一つの在り様。こういうことを目標にしたけど結果はこうだったよっていうような捉え方をしないというのかな、順調ってこんなに大変なんだよなっていう感じのところで、じゃあどうしようか、そういうポイントだけに絞ってる。
田口:こないだ4月にべてるに行ったじゃないですか。向谷地さんいなかったけども。でね、最初あの浦河に着いたら真っ先にニューべてるっていうね、べてるの家の事務所があるところに行くんですけど、あのトコトコと歩いて行ったらね、そこでまず最初に上がっていったら、下野君がいるわけ。で、下野君なんかずっと引きこもりしてたとか、具合悪くて引きこもってて最近やっと元気になって出てきたんだよなんて聞いてたんだけど、あたしは下野さんとは結構仲良くて何度も会ってるのに、あたしの顔を見るなり怯えてるんですよ。(笑)
向谷地:予想外だったの?
下野:怯えてました?
田口:怯えてましたよ。でさぁ、あたしにさぁ、「あのランディさん、怒ってるっしょ、怒ってるっしょ」って、「あぁやっぱり怒ってるんだ、怒ってる怒ってる」って言いながらねなんか海老のように後ずさりしてどっか行っちゃいましたけど。(笑)
会場:笑
田口:あぁ、下野君まだちょっと具合悪そうだなぁなんてなんか思ってたら、そのうちに下の駐車場でね、タバコ吸ってて、本当に怒ってる人がいて、具合悪くってちょっとこうぱぴぷぺぽになっちゃってるかと思ったんだけど。
で、みんなでね、窓の外からその人を見ながら「あぁタバコ捨てちゃってるよ、いつも大事にしてるのに、そうとうあれは来てるなぁ、もしかしたらそろそろ病棟に連れてかないとやばいかもしれな」いとか喋ってるわけ。その様子を見ながら。
本当にね、何か多分幻聴聞えてるんだと思うんだけど駐車場でタバコをばら撒きながらね、こう歩き回ってるんですよ、のそのそのそのそ。
でね、そのうちにね、えっちゃん(向谷地悦子 看護師、べてるスタッフ)がね、「今日男手が少ないからあの人やっぱり病院に連れてかなきゃいけないから下野君ちょっと下に行って様子見てきなよ」って具合の悪い下野君に言ってるの。
それでね、下野君、「えぇそんな事したら殴られちゃうよ」、「いいじゃない、一、二発殴られてもいいじゃない、あなた下行ってあの人を取り押さえて来なさいよ」って言われて最近やっとちょっと具合が良くなったからっていう下野君にえっちゃんがそうやって言ってるから、あぁここはべてるだなぁってしみじみ思ったね。あり得ないよ、すごいよって。で下野君が下に行って本当に様子見に行って。
向谷地:どうだったんですか?
下野:え、あの僕行かなかったんですよ。
田口:え、行かなかったの?
下野:最初行かなくて、「タバコばら撒くな」とか言ったら絶対怒られるなと思って、もう一人スタッフの人がいるんですけど、その人が言ったら予定通り怒られてました。で、予定通り機嫌悪くなって、でその後、どうでしたっけ、その後車に3人くらいで集まって。
田口:どやって乗せて連れてったの?
下野:で、肩叩いて、騙して病院に行ったんです。
田口:で、そういう事がね、私が行ったちょっと五分とか十分の間に淡々と起きて、淡々とあの何事も無かったかのようにね、行われる、日常的な光景としてね。行われていくんですよ。本当にね、その時あたしは浦河に来たんだっていう実感がわって込み上げてきてね。
だってあたしたち普通暮らしてて、やっぱりちょっとなんかこうタバコばら撒いて幻聴聞えてるような人がね、下でこう暴れてたらまず、怖いって思ったりとかね、ましてやね、自分が今具合悪くってね、それなのになんとかしてこいって言わないですよ。
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